事務所通信

2023年06月28日

「相続税・贈与税の制度が大きく変わります」

令和5年度税制改正が行われました。その中で相続税・贈与税について大きな改正がありました。数年前から改正の議論はされながら毎年見送られ、実現されてきませんでしたが、今回の令和5年度において遂に改正されました。今までの生前贈与の考え方を大きく変えるものとなります。
本日はこの令和5年度税制改正についてご紹介いたします。

(1)生前贈与加算とは
相続又は遺贈(遺言により財産を取得すること)により財産を取得した人が、その相続前3年以内に、被相続人(亡くなられた方)から財産を贈与により取得していた場合には、その財産は相続により取得したものとして相続財産に加算されます。例えば被相続人が令和5年6月1日に亡くなられた場合、令和2年6月1日から相続までの間に贈与された財産が加算の対象となります。
贈与は110万円以下については非課税のため、相続対策として、毎年110万円の贈与をされることがありますが、この110万円以下の贈与についても加算の対象となります。
また110万円を超える贈与を行い、贈与税を支払っている場合には、相続税からその支払った贈与税の額は控除されます。
なおこの加算の対象者は相続又は遺贈により財産を取得した人です。相続人以外の方への贈与、例えば相続人でないお孫さんへの贈与やお子さんの配偶者などへの贈与は加算の対象になりません。

(2)令和5年度税制改正
令和5年度税制改正ではこの生前贈与加算の期間が3年から7年に延長されました。例えば毎年110万円の贈与をしていた場合、今までは3年分の330万円が相続財産に加算されましたが、改正後は7年分の770万円が相続財産に加算されることになります。
一方で延長された4年間のうちに受けた贈与のうち総額100万円までは相続財産に加算しないこととなっております。
この改正は令和6年1月1日以降の贈与について適用されます。

(3)相続後の申告も大変に
今までは3年分の贈与について確認し、相続の申告をする必要がありましたが、改正後は7年分の贈与について確認する必要があるため、その手間も非常に増えることが予想されます。金融機関で過去の取引明細を発行依頼することは可能ですが、手数料もかかりますので,通帳の保管は7年以上置いておくことをオススメします。

今回の改正ではもう一つ「相続時精算課税制度」の改正がございました。こちらについても後日ご紹介できればと思います。

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